仙台市ではかねてより、ニッカウヰスキー仙台工場様のご協力もあり、廃棄樽を再利用した家庭用の雨タンクの設置が盛んです。

しかしオーク製品の宿命とも言えますが、虫食いや乾燥によるクラックの発生などによる漏れが起きたり、さらには酸性雨に晒されることで金具部分のサビの発生など弱点もありました。

そこで当社ではこのたび、宮城県や東北工業大学と協力し、カキ殻利用による酸性雨の矯正と防腐効 果の実証を試験的に行うことにいたしました。家庭用としての普及を目指すためにはやはり低予算というのがキーワードになります。材料費50000円でどこ まで可能なのか検証しました。

施工した手ごたえとしては、水圧の確保が難しいためトイレ用水としての常設利用は厳しいと感じる一方、家庭菜園への散水利用や、施工現場での洗浄用水確保にはとても応用しやすいと感じました。

今後も経過を調査し、さらなる改善を図ります。


01.廃棄樽の前処理
ニッカウヰスキー様では250リットル,500リットルの樽を常時販売しております。今回は23000円の250L樽を利用しました。樽径700mm樽高900mmくらいです。
事前処理として樽底に水抜き栓+樽横腹にオーバーフロー管+蓋の補強固定+蛇口の取り付けを行いました。5000円で全て可能な範囲です。

02.アメポイント
手軽さと費用対効果の面から、今回はダイカポリマー様のアメポイントを利用しました。
一般的な家庭用55mm立樋に簡単に設置できる上、スポンジのフィルタが内蔵されており、害虫の卵の除去や屋根面のゴミの流入を防いでくれそうです。
恒久的な使用にはメンテが不可欠ですが、今回は耐用年数も実地調査に含めていますので、併せて経過を調べていきます。
価格は3250円でした。

03.付帯設備
付帯設備として諸々です。
蓋の取っ手+アメポイントホースの固定用パッキン口+蓋固定用の輪ゴム+輪ゴムを止める金具類です。今回はメッキ部材とSUS品のみで揃えました。全部で3000円くらいです。

04.カキ殻
浄化材として有機物を除いたカキ殻を7.5kg用意しました。
メッシュは農業用の野菜袋の変形です。ただし破砕片の流出が予想以上に発生しましたので、今後メッシュ袋は工夫の必要がありそうです。

05.蓋パッキン
蓋には圧着できるようにクッションテープを取り付けました。
耐水性の屋外用テープです。
木材への接着には少し強度が不安ですが、木材に由来する蓋の曲がりや変形に対応できる工夫が必要です。
長さは2mで十分です。1000円弱です。

06.付帯設備の取り付け
蓋に細工して、輪ゴムをかけるフック等を取り付けた状態です。
樽の基礎架台としては枕木やレンガ材が意匠的に相応しいかもしれません。
今回は200円程度のブロックを15.6個使用し、3000円くらいで施工しました。隙間に施主様の庭から拝借した玉砂利を乗せて少しかっこよくしています。

07.蓋の密封
蓋の圧着に隙間があると、虫の温床になりかねないと考えました。
輪ゴムをフックに引っ掛ける単純な方式にし、密封できるようにしました。
蓋の上に石が置いてあるのは、蓋が完全に開ききってしまう細工にしたため、流入管に影響するのを防止したためです。

08.オーバーフロー
オーバーフロー管は樽の内部でさらに上方に張り出させ、蓋ギリギリまで水位を上げられるようにしております。
急激な大雨によって満水になった場合はこのオーバーフロー管によって地中に逃がします。
塩ビ管と継手、固定バンドを合わせると2000円くらいです。

09.立樋の切断
家庭用の55mmの立樋を切断し、アメポイントの接続を行います。
今回は樽の上位50センチくらいにて切断しました。

10.アメポイントの接続
アメポイント(丸樋用)の接続状況です。
継手の中央でスポンジフィルターによる浸透と分流が行われます。
左方へはフィルタリングされたキレイな雨水が、下方へはフィルタで除けられた葉ゴミが流されます。

11.アメポイントの接続
ホースのままでは少し心配だったので、同径管を鞘としました。

12.流入管の接続
あらかじめ開けておいた蓋の開口部分に、03左上のパッキン口をはめ込みホースを固定しました。
これで屋根面に降った雨が樽の内部に貯留されるようになります。

13.マスの設置
今回の主用途は樹木への散水です。
バケツに溜めて使う予定なので、塩ビマスを設置して排水を行えるようにしました。
塩ビマスは4000円くらいです。

14.水位目盛りの設置
貯留量の視認性確保のため、樽の内部に目盛りを設置しました。アルミ製のスケールを切断しただけの簡易なものです。
透明チューブを樽の外側に張り出すことも考えましたが、凍結の恐れがあるので今回は内部への設置にしました。

15.設置完了
これで天水桶の設置完了です。
塩ビ製品を多用することで価格を下げることに成功しました。
材料費50000円で全て収まったと思います。
樽の重量がかなりあるので、作業には十分注意が必要です。
今後、仙台市の雨水を貯留し、また実際に使用してみることでさらなる改善点を模索